Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
Submitted by yuya kamoshita, individual
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  今回の改定は、東電福島原発事故による避難に伴う被害にフォーカスし、この被害を低減させることが、一つの目的なのだと思われる。しかし、ICRPが守るべきものは何なのか、改めて考えて頂きたい。ICRPは放射線被曝から被曝労働者や一般市民を防護するための、提言や、考察をする委員会であるはずだ。にもかかわらず、なぜ避難の被害を低減しようとするのか。そもそも避難は負担を伴い、時に危険な行為である。しかし、原発事故(核災害)において、被害者は迫り来る被曝の危険を避けるために、止むに止まれず(避難の指示の有無にかかわらず)避難を強いられるのである。核の危険は、被害者を選ばない。病状の重い患者にも、肺炎を起し、生死の淵をさまよっている高齢者にも、ハイハイしながら辺り構わず舐め回す乳児にも、母親のお腹の中の胎児にも容赦なく襲いかかる。避難弱者の典型である妊婦や乳幼児は、被曝の影響はむしろ深刻であり、例え避難の危険があったとしても避難が必要である。核災害が一度起きれば、その進行の予測は困難である。どの程度放射能が吹き出すのか、いつどこから吹き出すのか、予測などできない。また、東電福島原発事故のように、自然災害と複合すれば情報伝達も困難となり、交通網や輸送手段の損傷により、避難はより困難になる。だからといって、周辺住民から「被曝を避けて健康に暮らす権利」を奪う勧告を正当化することはできない。特に乳幼児、入院患者、高齢者など社会的弱者に対する権利侵害は深刻であり、避難すれば避難の被害があり、避難しなければ、被曝の被害を強いられることになる。ICRPが社会的弱者のために何をすべきか、という視点に立てば、事故を防ぐこと、事故が起きた場合の放射能放出を防ぐ、この2点が最も重要なことであろう。つまり、ICRPは原子力事業者や国に対して、この2点をより突き詰めた運営を行なうようなインセンティブを与えるべきなのだ。しかし、今回の勧告はこれとは真逆のインセンティブになっている。事故を起した際の避難の基準を緩和することでは、被曝の被害は深刻になる一方、被曝の危険を知る被害者は、事業者や国の関与が無い状態で、危険な避難を選択すること強いられ、難民化することになる。

 ICRPの新勧告は被害低減につながるものではない。核災害を伴う事故を抑止し、放射能放出を防ぐ事業運営をさせるためにも、ICRPは新勧告を見直すべきだと考えます。


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